『イタリアは足場だらけ』


1999年の正月、イタリアに旅行に行きました。
おいしい食事、
美味しいワイン、
街を歩けば文化的遺産だらけ。
何を見ても驚きと発見の連続でしたが、
そんな中で、
一際僕の目を引いたのは
イタリアの足場でした。
何しろ、そこらじゅう、古い建物だらけだから、
改修、補修、養生と
自分の仕事(鳶職)
と繋がる部分が多かったのです。

そんななかで、特に気に入ったものを、 カメラにおさめました。

足場の特徴として パイプを使用したものが多いようです。

しかも、おそらく、
焼きつけ塗装してあります!
特に教会とか、史跡などに足場を組む場合など。

こんなことは日本では考えられません。
最近はディスプレイやショウケースなどで パイプを使うものが増えましたが、
あくまで商用であり、
工業用ではありません。
はじめは

「金かけてるな〜」
程度しか思いませんでしたが、





多分、イタリアより日本の方が、この手の仕事の就労賃金も
高いと思うし、仮設材(足場を組む材料)のリース業なども
整備されて、安全、衛生面にしても
工業的に、また生産性としても
日本の方が優れていると思います。

ところが、そういった合理性、実用性、必然性という枠での優劣ではなく、
イタリアでの足場は、妙な存在感というか、もっと違うとらえ方が 出来るような気がします。








『存在感』、、、って、工業に必要なんでしょうか?
そもそも、仮設足場であり、
あくまで、工事用であり、
それは、観賞用ではないし、
もちろん、モニュメントでもありません。

しかし、「何か」を感じさせます。
ナンでしょう?それは。
詳しくは調べてないのですが、
同じ足場をつくる職業に就く者としては
もう、放って置けません。(笑)

この左の写真なんか、ある意図が隠されてます。
もし、何気なく、その様になるとしたらそれはそれで凄いことだと思うんです。

多分、実際に足場として使用しているのは、
上部のシートを張り巡らしている部分だけで、
その下部は、単にそこまで上がるための足場です。
問題はその下部にあります。
足場板(アンチ:枠組足場で足下の作業床になるものです。)が
少ない、、、。
?というか、意図的に抜かれてます。どう考えても。

これは、ヴェニスにある教会なんですが、多分、

「手を抜いた」訳でもないし、

「材料が足りなかった」訳でもないと思います。

ただ、400年程昔からある教会なんです。
考えられることとして、
「建物の姿をできるだけみせる」
ということでしょうか。

建物としての存在感を最大限みせることで、足場との違和感を消そうとしているのでは?
考え過ぎでしょうか?
しかし、街中、建造物が、400〜600年前の土地です。
そういった建物が、一時的にでも足場に覆われて、隠れることに
違和感を感じてるんではないでしょうか?

当然、日本では滅多にあり得ません。
日本では、「安全」「衛生」が職人の目指す所であり、
余分なことは考えません。

そもそも、日本の建設業者は自分達の工事が及ぼす、
景観の違和感についてなんて考えません。

最近は現場の仮囲いなどに、写真、絵などを転写したりなど
凝ったものもありますが、
あくまでも、それはリース屋の商業ベースにのって設置するだけです。
イタリアでは、そういった感じではなく、
工事の進め方から既に、「意識」があるような、、、。

右の写真は更に凄いです。
この写真を見て、どう思いますか?
「普通に建物がある」と思うでしょ。
僕も、これはヴェローナなんですが、最初わかりませんでした。
しかし、実は足場なんです。足場に架けるシートに実物大のそこに当然ある、
建物の写真をわざわざ転写してるんです。

凄いです。
イタリアはいろんな国から観光客が訪れる国です。 僕もその一人でした。観光地だからこそ、工事現場に工夫を施しているのかも。ある意味、意地でしょうか。

方や、次の写真はベニスですが、中央の跳ね出し足場も綺麗なんですが、
その奥の木の板で覆われた壁。これも足場なんです。
こちらはうって変わって、全く違うものを演出しています。
日本だと防音パネル等を使います。
解体現場などで使うやつです。
しかし、真近で見ても、ただの板です。(笑)
板自体には全然お金も掛かってない感じの板です。
これなら日本の工事のほうが手間が掛かってない。
しかし、問題は手間とコストです。これは、手間が掛かります。
どうやって打ち付けてるのか、外からではわかりません。
一枚が3メーター位ある板を綺麗に並べてあります。
この外側に足場を組めば、板を打ち付けることができるかも知れませんが、
ここで思い出さなくてはいけないのは、これは足場の養生であるということです。(笑)
どこの世界に足場の外側に足場の養生のための足場を組むやつがおるでしょうか。

頭が混乱して来ます。(笑)
しかし、ここベニスではこの手の養生が結構おおくて、ポピュラーです。

で、考えられるのは、足場の見え方、見られ方、工事の外観に関する捉え方というか、日本とは全然違う。
シートに転写する方法は非常にコストが掛かります。
板を打ち付けるのは手間が掛かります。
どちらも日本ではマイナス要素です。
手間、コストをできるだけなくす方向に進む日本。
あえて、手間、コストを掛けるイタリア。

転写は日本の建築工事の外観に取り入れられる可能性があり、事実現在、
存在しています。日本は手間よりもコストを選んだのです。
しかし、僕が好きなのは後で紹介した、木の板を打ち付ける方です。

その存在感。まさに芸術です。
ベニスの町並みに全然違和感を感じさせない。

工事していること自体日常的ではないのに、違和感がないのには、
驚きます。クリエイティブなコンセプトを感じます。
<続く>
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